外部EAPにおける自殺・自傷に関する危機管理システム
― 心理臨床家によるリスク判定と情報開示基準 EAP Crisis Management System ―
渋谷英雄 (ピースマインド総合研究所)
小薬理絵 (ピースマインド総合研究所)
馬場洋子 (株式会社 ピースマインド)
1.目的
労働契約法に示される安全配慮上のリスクマネジメントは、働く人々の疾患予防に深く関係している。外部EAPにおける「家族、産業保健スタッフ、人事スタッフ、企業経営者など」との連携と、情報開示を含めた危機管理の対応を定めておくことは、カウンセラーのコンプライアンス遵守のみならず、自殺予防にも大きく寄与する。
本研究では、心理臨床から見た精査に加え、法的妥当性が認められる基準作りを目指し、臨床に活かせるシステムを検討した。
2.調査対象
①外部EAPカウンセラー(臨床心理士、精神保健福祉士、シニア産業カウンセラー)、②産業保健スタッフ(精神科医、保健師など)、③人事スタッフ(EAP・労務・コンプライアンス担当)、④医療事故訴訟に関わる法律専門家(弁護士、社会保険労務士)などの専門家への妥当性検証及び、アメリカEAP機関認証などの監修者Dr.Dale Masiによる臨床経験に基づく精査確認を行った。
3.方法
第一段階の文献調査(医療・航空事故、災害などの危機管理概念など)に基づき、高リスク時における情報開示手順を検討。分析カテゴリーは、1)情報開示判断の基準(本人や家族承諾などの分類)、2)情報開示判定者の基準と教育、3)高リスク基準分類(自殺念慮・企図、暴力行為、第三者行為など)、4)カウンセリングプロセス<特に、カウンセラーからヒアリングする文言>、5)強制情報開示の判断基準、を主な内容とし検討した。第二段階としては、法的妥当性を追及し内容を精査した。第三段階は、危機管理システムを仮想テストし、臨床上の妥当性を検証した。
4.結果
レベルを5ステップに分類し、①「意思表明」、②「観察判断」、③「ヒアリング項目」、④「生育環境確認」、⑤「具体的行動計画の確認」を作成し、臨床及び法的妥当性が認められるカウンセラーの対応(行動指針)の知見を得た。ヒアリングでは、環境・過去体験・直近行為・通院状況などの観察指標をまとめ、行動の分析指標では、脱法行為・自傷(自虐を含む)などの客観的指標をカテゴリー化した。また、カウンセラーの対応(行動指針)においては、具体的なリアクションをステップに従い行動でき得るよう、守秘義務例外などのプロトコルを示した。
| <リスク対応フロー(情報開示手順の抜粋)> | <リスクアセスメントフロー> |
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5.考察
危機管理システムの構築については、医療行為や臨床行為以外に、法的基準などにも従った対応が求められる。今後は、法律従事者、情報セキュリティ従事者からの検証と同時に、臨床面からもフォローアップされるようシステム化された効果測定が必要となる。
キーワード
自殺、危機管理、情報開示
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